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丈夫で切れ味抜群!だから超ロングセラー
「ステンレスキッチンバサミ」のひみつ ~ 製造工場訪問

2025.10.17 コラム
丈夫で切れ味抜群!だから超ロングセラー<br>「ステンレスキッチンバサミ」のひみつ ~ 製造工場訪問

一度使ったら手放せない!ロングセラーの逸品「ステンレスキッチンバサミ」

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皆さん、毎日のお料理にキッチン用のハサミを使っていますか?
包丁では難しい細かい作業はもちろん、包丁やまな板を出す手間が省け、調理がスムーズに!

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さらに栓抜きや、瓶・缶のふた開けまで大活躍。
一度使ったら手放せない、使って楽しいキッチングッズです。

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使った後は、2枚の刃を90度に開くだけで分解できてドライバーも不要。
隅々まで、きれいに洗えて清潔に保てます。包丁の代わりに安心して食品を切ることができます。

オークスのオリジナル商品ではありませんが、弊社でも20年以上販売を続けるロングセラーの逸品、栗忠製作所のステンレスキッチンバサミを今回はご紹介。

なぜロングセラーを続けるのか?ユーザー絶賛の理由は?
そのひみつを工場取材を通して、ひも解いていきます!

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キッチンバサミ一筋の町工場「栗忠製作所」

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「ものづくりのまち」新潟県三条市で70年以上の歴史をもつ栗忠製作所
ここではキッチンバサミ製造の100以上の工程のほとんどを6人のベテラン職人たちが手作業で1本1本丁寧に仕上げています。

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工場の案内と詳しいお話を聞かせて下さったのは、栗忠製作所二代目の栗山秀雄さん
幼い頃からずっと、家業である先代の父親のハサミ作りを見ていたそう。47才で二代目を継ぎ、自らも職人として50年以上に渡ってハサミを作り続けています。

こだわりの製造技術「熱間鍛造」

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切れ味抜群、丈夫で長持ちするキッチンバサミを製造するために、栗忠製作所では「熱間鍛造」という技術を取り入れています。
ステンレスは錆びにくく、優れた特性をもつ一方で、硬くて加工の難しい金属。その材料を1,200℃以上の窯に入れ、真っ赤になるまで熱して柔らかくします。

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「職人は赤くなった材料の微妙な色の変化と持った時の感覚を感じ取り、窯出しのタイミングを決めている。」と栗山さん。

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窯出しされた材料は、上下一組の金型に入れられ、エアハンマーといわれる機械でおよそ1トンもの圧力で2回打ち付けられます。

ドーン!ドドーン!!」鍛造工程は大きな音と地響きで大迫力!

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材料を金型にセットする時も、金型から数ミリでもずれると製品にならないそうです。これも職人さんの経験と勘による素人では真似できない技。こちらの鍛造専任の職人さん、なんと40年以上打ち続けている大ベテラン!すごいですよね。

「鍛造」によって材料が圧縮、金属組織が緻密になり、中にある不純物が抜けて、元々硬いステンレスの強度がさらに高まります。切れ味抜群、丈夫で長期に渡って使えるキッチンバサミが仕上がるのも納得です!

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《鍛造前の材料》刃の部分は切れ味良く丈夫なステンレス、ハンドル部分は加工しやすくコストに優れるステンレスを溶接し、品質とコストの両立を図っている。

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《鍛造後の材料》この後も、焼き戻し(焼き入れ)され、さらに強靭な素材となる。

職人の手で100の工程を経てカタチになるキッチンバサミ

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圧縮された鍛造後の材料は、全体にほぼ均一なバリ(不要なフチ)があるので、バリ抜き(プレス)を行います。

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手間が掛かりますが、バリ抜きも一回ではなく部位ごとに、ハンドルの外側、内側、刃先と分けて行います。

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刃先を鋭く磨くのはもちろん、ハサミ全体の形を整え、隅々まで表面を磨き上げます。

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指穴部分は内側まで丁寧に磨き上げます。同業他社の社長さんに「ここまでやってるハサミはない!」と言わせた逸話あり!

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「指穴部分は磨かなくても使用に支障はありませんが、毎日使って欲しいから、握り心地や使い心地にはこだわります。」と栗山さんは言います。

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刃先のギザ刃付けも職人の手作業。

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このギザ刃でしっかり挟めるから、食材が滑りにくく、肉や野菜はもちろん、硬いカニやエビの殻もラクラク切ることができます。

重要な最終工程!切れ味の決め手は「相刃取り」

最後に、ピカピカに磨き上げられた2本の刃を組み合わせるとハサミが完成します。
この時の微調整が「相刃取り」と呼ばれる重要な工程。

ここが腕の見せ所。どんなにキレイに磨き上げても最終工程の相刃取りがきっちりできていないと、切れ味の良いハサミにはなりません!」と栗山さんが作業を見せてくれました。その前に2本の刃を組み合わせてみますが、相刃取りの工程なしだと、やはり紙が切れにくい様子。

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そこで栗山さんは2本の刃を外し、揃えて見極めます。

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銅製の金槌でコンコンっと軽く叩いて微調整。

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組み合わせでも見極めて、微調整を数回繰り返すと、一人うなずく栗山さん。

こうして出来上がったハサミは、普通の紙だけでなく、コシがない柔らかなティッシュペーパーまでスパッと切れます。驚きの切れ味です!

さいごに

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今まで100万丁以上のハサミを作ってきたけど、一つとして同じハサミはできません。お客さんに最高の切れ味を長く味わってほしいから、想いを込めて1本1本作っています。ハサミ作りは難しいですよ!」と笑顔で語る栗山さん。

筆者は10年以上、このキッチンバサミを愛用していますが、今回の取材を通して、ますます愛着がわく道具となりました。まだお使いいただいていない方、最後までお読みいただいて少しでも良いなと思っていただけた方には強くオススメ!
職人さんの技と経験に裏打ちされた抜群の切れ味、使い勝手の良さを是非体感してみてくださいね。

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