腸内環境と血糖値コントロールがカギ!予防医学医師が語るさつまいもの健康効果と食生活のポイント

腸内環境と血糖値コントロールがカギ!予防医学医師が語るさつまいもの健康効果と食生活のポイント

おいしくて体にいい。赤ちゃんからご高齢の方までみんなに大人気の健康食材、さつまいも。今回はそんなさつまいもの魅力を、予防医学が専門の医師 関由佳さんにインタビュー。ご自身の経験や暮らしぶりを交えながら、現代人に大切な食生活のポイントまでさまざまなことを教えていただきました。

炭水化物の質を意識した食生活

――砂糖を摂らない生活をされているそうですが、それまでの経緯についてお聞かせください。

無理なダイエットがきっかけで、中学生くらいからホルモンバランスが崩れてしまい、薬が手放せなくなりました。大学で医学部に入って学んでいく中で、多くの慢性病や生活習慣病の原因は食事やストレスなのにそこにアプローチせず薬で治すのは本質なんだろうかと思うようになったんです。薬だけでは健康になれないことは自分の体を通してわかっていたので。

大学卒業後研修医の頃、一人の先生に会いました。ご高齢なのにとても元気で血液検査も異常なし。食事について伺ってみると糖質コントロールをされていて、食べる順番や食べ物の質にこだわった食生活をされていました。

私も興味が湧いて勉強を始め、先生の食事法を外来で使ってみたんです。すると結果にしっかり現れて、食べ物だけで数値が変わることを実感しました。それからは私自身も白砂糖を摂らなくなったり、炭水化物の質にこだわった食生活を意識するようになりました。

――食事面では具体的にどのようなことに気をつけていますか?

血糖値

日々の食事の中で気をつけているのは、「糖化」と「酸化」をしないようにすることです。どちらも老化現象の一つですが、「糖化」は急激に血糖値が上がることで起こります。ですから最初にできるだけ食物繊維が多いものを食べて、甘いものを食べたいときは最後に食べるという順番に気をつけています。

料理に砂糖を使わないので、家には置いていません。果物や野菜の甘みや、麹を発酵させた甘酒か、醤油麹や玉ねぎ麹、白味噌などを使って料理をします。砂糖を使わなくても甘いですよ。子どもも自然な甘みに慣れるように、おやつには甘酒アイスなどを食べさせています。

大切なのは腸内環境と血糖値のコントロール

――ご自身の体調はどのような方法で改善させていったのですか?

かつての私は病気を食べ物だけで治そうと考えていて、ストイックにやりすぎた部分がありました。それが逆にストレスになっていたことに気づいたんです。それからは腸内環境を整えることと血糖値の急上昇を防ぐことに注意しながら、食事を楽しむことを一番に考えるようになりました。おかげで20年くらい悩まされていた症状も改善し、医師には難しいと言われていた自然妊娠も叶いました。

――食事面では腸内環境と血糖値がポイントなんですね!

腸内環境が整う食材

食事療法で良くなる人と良くならない人の違いは腸内環境です。腸内に善玉菌が多い方が食べたものを正しく消化吸収してくれます。アーユルヴェーダを学んだ時にすべての病気は消化力の低下から始まるということを知りました。消化力を高めるためには腸内細菌が喜ぶような食物繊維の多い食事を食べることが欠かせません。

また血糖値が急上昇すると血管内の細胞が傷つきます。それを防ぐためには食物繊維が豊富なものを先に食べたり、炭水化物はできるだけ精製されていないものを摂るといったことが大事です。チョイスを変えるだけで全然変わるんです。それはデータとしても実証されているし、医師としても実感があるので、ぜひ実践してほしいですね。

長寿の主食にもなっていたさつまいも

――さつまいもに含まれる栄養について教えてください。

ざるの上にあるさつまいも

さつまいもと聞くと「ブルーゾーン」の話が浮かびます。世界の長寿が集まる地域をそう呼ぶのですが、日本では沖縄や奄美の辺りになります。ある研究によるとかつてその辺りでは紅芋やさつまいもが主食になっていたそうで、白米はその次。さつまいもは食物繊維やビタミン、ミネラル、カリウムなども豊富で、白米にはない栄養素が含まれている点が魅力だと思います。

――食物繊維にはどんな働きがあるのでしょうか?

ある研究によれば、加熱したさつまいもを1日300g摂取したグループは、食べなかったグループに対して排便量が1.6倍になって善玉菌が増加したことが分かったそうです。食物繊維は善玉菌のエサになるので善玉菌を増やしてくれますし、それによって腸内環境が改善されて便秘解消やダイエット効果にもつながります。
またさつまいもの皮には抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれているので、ぜひ皮ごと食べてほしいですね。

――さつまいもを食べすぎて良くないことはありますか?

焼かれたさつまいも

さつまいもには水溶性と不溶性の両方の食物繊維が含まれますが、不溶性の方を急激にたくさん食べてしまうとお腹が張ったり便秘になることがあります。お腹が張ったりガスが出るのは消化不良のサイン。適度に少しずつ食べたり、水分を多めに飲みながら食べることをおすすめします。
それとさつまいもは糖質も多いので、普段食べているものにプラスして食べればカロリーオーバーになることも。おやつで食べているものを置き換えて100グラムくらい食べるのがちょうどいいと思います。

おいしいのはやっぱり焼き芋!

――さまざまな調理法がありますが焼き芋の魅力はどんなところでしょうか?

やっぱりおいしいですよね。私はさつまいももとうもろこしも焼いて食べるのが好きです。水を使わずに食材の持っている水分だけで調理できるので、栄養損失も少ないですし甘みや旨みも引き立ちます。それとさつまいものビタミンCはデンプンで守られているので、加熱しても壊れにくいという特長があります。

――焼き芋にすると甘みを強く感じますが血糖値が気になる場合は?

さつまいもに含まれるデンプンは冷めると吸収されにくい構造の「レジスタントスターチ」に変化します。食物繊維と同じような役割をするので、血糖値が急上昇しにくく、腸内環境を整えたり、便秘解消にもつながります。

カットされた焼きいも

つまり血糖値が気になる方は焼き芋を冷やしてから食べるのがおすすめ。冷たくしてサラダにしたり、ひんやりスイーツにしたり、翌朝まで冷やして朝ご飯にするのもいいですね。

おいしい焼き芋が簡単に!ナチュラルストーングリル

――「ナチュラルストーングリル」はいかがですか?

おしゃれでかわいいですよね。私は結構、見た目も重視しますのでキッチンに置いてある感じもいいなと思いました。中の石を外せば普通の鍋として使えますし、パスタも茹でられそう。実用的な形だと思います。

――これまで作っていた焼き芋との違いはどんなところでしょうか。

甘みがすごく強くなります。皮もパリッと仕上がって中はしっとり。焼き芋屋さんで売っているようなおいしさに仕上がって感動しました。鍋の中の石によって遠赤外線効果が高まり、甘さが凝縮される感じです。
他の野菜も試してみまして、玉ねぎは半分に切って皮ごと、大根は薄く切って10分ほど焼いてバルサミコ酢でいただきました。キャベツは下に少し水をしいて蒸し焼きのように。どれも甘みが凝縮されてとてもおいしかったです。

――おいしい焼き芋を作るコツがあれば教えてください。

さつまいもにはアミラーゼという消化酵素が含まれており、加熱するとデンプンを麦芽糖に分解してくれます。アミラーゼを十分に働かせるためには弱火でゆっくりと時間をかけて加熱すること。これが甘い焼き芋を作るコツです。
それとあまり開け閉めせずに動かさないのもポイント。基本的には鍋の中に石を置いて焼くだけで、料理が苦手な方でも簡単においしい焼き芋が作れると思います。

食も暮らしもストレスなく楽しみながら

――最後に読者の皆さまへメッセージをお願いします。

私は自分の病気を治すためにあらゆる栄養学を勉強してさまざまな方法を試しました。でも正直楽しくなかったんですよね。ルールに従って食事をすることがストレスになっていることに、ある時気づきました。そこからは先ほどもお話ししたように、腸内環境と血糖値だけは気をつけて基本的には体が食べたいものや旬のものを選ぶことにしました。

何を食べるかも大事なのですが、自分が「おいしい」「うれしい」などの直感に従うような生き方をするようになったら、自然と体と心が整って健康になりました。病気もストレスも結局は自分自身が作り出しているもの。逆に言えば自分の主治医は自分でしかありません。私は自分の体を通してそれを実感しましたし、そのことをたくさんの人に伝えていきたいと思っています。

執筆者プロフィール

関由佳<br>―内科医、味噌ソムリエ、野菜ソムリエ、メディカルフード研究家

関由佳
―内科医、味噌ソムリエ、野菜ソムリエ、メディカルフード研究家

予防医学、栄養医学を専門とする医師。医食同源の考えのもと野菜と味噌を多く使ったバランス食を自ら実践。味噌汁ファスティングプログラムの監修医師を担当するほか、メディカルフード料理研究家としても活動。著書に『みるみる痩せる!味噌汁ダイエット』(宝島社)、『腸と胃を整える食べるくすり やさい麹』(アスコム)、『毎日食べたい!腸活みそレシピ』(海竜社)

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