【医師監修】魚に含まれるDHA・EPAは脳に効果的って本当?

【医師監修】魚に含まれるDHA・EPAは脳に効果的って本当?

魚に含まれるDHA・EPAには、脳の発達や血液サラサラに効果があるといわれています。でも、そもそもDHA・EPAとはどのような栄養素なのでしょうか。また魚の油は体によいといわれますが、動物性の油と何が違うのでしょうか。

DHA・EPAなどの健康効果について、内科医師のやす先生に教えていただきました。

DHA・EPAはどんな栄養素なの?

DHA(ドコサヘキサエン酸)およびEPA(エイコサペンタエン酸)は、脂質を構成している脂肪酸の一種です。脂肪酸は、大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つに分けられますが、DHA・EPAなどの「オメガ3脂肪酸」は「不飽和脂肪酸」にあたります。

―「飽和脂肪酸」とは

肉の脂身やバターなどの乳製品などの動物性脂肪に多く含まれます。常温では固形の状態であることが多く、人間が体内で作ることができます。

飽和脂肪酸の過量な摂取は血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させ、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクが高まることが知られています。

一方で、飽和脂肪酸は、細胞膜の機能維持や、ホルモンの合成に必要です。飽和脂肪酸も適度に摂取することが健康維持には必要です。

―「不飽和脂肪酸」とは

魚の脂や植物に多く含まれ、常温では液体で存在しているものがほとんどで、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪を低下させる働きがあることが知られています。

「不飽和脂肪酸」はさらに「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分けられます。

①「一価不飽和脂肪酸」

オリーブオイルたこめ油などに多く含まれ、体内で飽和脂肪酸からも合成されます。

②「多価不飽和脂肪酸」

「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」、「オメガ9脂肪酸」に分類され、いずれも体内で合成することができないため必須脂肪酸と呼ばれ、食品からの摂取が必要。

現代人は、多価不飽和脂肪酸の摂取量のバランスに問題があることが問題視されています。オメガ3脂肪酸の摂取量が少なく、オメガ6脂肪酸を摂りすぎていると考えられています。

オメガ6脂肪酸を多く含む食べ物

  • ・サラダ油や大豆油、コーン油などの植物油
  • ・マヨネーズ
  • ・加工食品やファストフード(揚げ物やスナック類)

DHA・EPAの摂取が大切な理由とは

1)食事から摂取が必要な「必須脂肪酸」

脂質はタンパク質、炭水化物とともに、体にとって大切な「三大栄養素」です。脂質のなかでもよい脂質であるDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸は、体の中で作ることができません。そのため、食事から摂る必要があるのです。

2)脳や神経細胞などの重要な構成成分

脂質は体のエネルギー源であるだけでなく、体内の細胞膜やホルモンをつくるための材料であり、また脳の構成成分でもある非常に重要な栄養素です。DHAやEPAを摂取すると頭がよくなるといわれるのは、脳の成長・発達においてDHAやEPAが必要不可欠であるからでしょう。

3)血液をサラサラにする

また、DHA・EPAには血液をサラサラにする効果や、炎症を抑える効果があるともいわれています。

このように嬉しい健康効果が期待できるDHA・EPAですが、サプリメントなどでDHAやEPAを単独で摂取することは難しく、仮に単独で摂取できたとしても、それで劇的に頭がよくなるなどの効果が得られるかは疑問です。

やはり、食事としてDHA・EPAを豊富に含む魚を食べることで、タンパク質やビタミン、ミネラルなどと一緒にバランスよく摂取するのが理想的だと考えられます。よい脂質の体内での役割を考えれば、魚は成長期のお子さんや脂質異常などが気になる方に限らず、万人に食べていただきたい食材だといえるでしょう。

DHA・EPAを上手に摂取するには

1)青魚や甲殻類を選ぶ

DHA・EPAは、マグロやサバ、イワシ、ニシンなどの青魚や、鮭、またエビやカニなどの甲殻類にも多く含まれています。

2)揚げ調理は避ける

DHA・EPAをはじめとするオメガ3脂肪酸は熱に弱いため、刺身など生で食べるのが一番効率のよい摂り方です。とはいえ、生食にこだわりすぎて魚を食べることに飽きてしまったり、続かなかったりしたのでは本末転倒なので、煮る、蒸す、焼くなど自分の好きな調理法を取り入れて、毎日魚を食べることを継続してほしいと思います。

揚げ物など高温になる調理法では、損なわれるオメガ3脂肪酸の量が多くなってしまいますので、加熱時間をできるだけ短くする工夫をしてみてください。また、古くなって酸化した油(揚げ物で使用した油や、使い回しした油など)は体によくないので気をつけてください。

3)いろんな魚をバランスよく

DHAやEPAの一日の摂取量については、厚生労働省が性別や年齢ごとに何グラムという基準値をあげていますが、そのグラム数を毎日意識して食事をするのはなかなか難しいかと思います。あまり神経質にはならずに、一日一回、いろいろな種類の魚をバランスよく取り入れるとよいでしょう。

魚を食べるときの注意点

魚の摂取については、魚に含まれる水銀を気にする方もいらっしゃるかもしれません。確かに、魚の中でも食物連鎖の上位にいる大きな魚には微量の水銀が含まれています。

しかし、その量は非常にわずかであるため、普段の生活でいろいろな魚をバランスよく食べる分には問題はありません。ただし妊婦さんの場合は、魚の水銀がお腹の赤ちゃんに与える影響が100%ないとは言い切れないので、厚生労働省のサイトなどを参考にしながら、上手に魚を取り入れてください。

薬剤としてのDHA・EPAについては、出血の増加防止として手術前などに投与を中止するケースがありますが、食事で魚から摂るDHA・EPAに関しては血液がサラサラになりすぎて問題になるということはありませんので、安心してください。

「1日1回魚を食べる」を毎日続けよう!

脂質は人間が体を維持していくためにとても大事な栄養素です。そしてその脂質の中でもとくに健康によいとされているのが、魚に含まれているオメガ3脂肪酸のDHAやEPAです。ぜひ、焼き魚でも煮魚でもお好きな料理法で、1日1回食事に魚を取り入れることを毎日続けてみてください。

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やす先生|内科医

執筆者プロフィール

やす先生|内科医

横浜LA内科・内視鏡クリニック院長。内科や内視鏡だけでなく、皮膚科や発熱外来など、地域の総合診療を担っている。内科医として地域住民の健康を支えるかたわら、「食事」「運動」「睡眠」「マインド」からなる「健康資産」の正しい運用方法を発信している。
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