糖化も防いで美容&健康メリット大!「蒸し料理」の医学的効果を分子栄養学の専門家が解説

糖化も防いで美容&健康メリット大!「蒸し料理」の医学的効果を分子栄養学の専門家が解説

焼く、煮る、揚げる、茹でる。調理法にはいろいろとありますが、その中でも今回取り上げるのは「蒸し料理」。

クリニック院長でもあり、分子栄養学の専門家でもある安藤麻希子先生によれば、「蒸し料理は医学的効果がとても高い料理のアプローチ法」とのこと。これまであまり着目されてこなかった蒸し料理の美容・健康効果についても教えていただきました。

蒸し料理は老化物質「AGEs」を増やさない調理法

■どうして糖化は体に良くないのか

「蒸す」という調理法には栄養学の観点から見てもさまざまなメリットがあります。その中で最も注目していただきたいのが「糖化を抑制できる」ということです。「糖化」とはタンパク質が糖と結びついて変性して劣化することを言います。

糖化をイメージするためによく用いられるのがパンケーキの例です。パンケーキは焼くとこんがりと色づいてきます。これは砂糖と牛乳や卵などのタンパク質が加熱によって結びついて変性し、コゲになって現れます。この現象を「糖化」または「メイラード反応」と呼び、変性してできたものをAGEs(終末糖化産物)といいます。AGEsは、皮膚や血管の老化やさまざまな病気の引き金になると考えられています。

■蒸し料理で「糖化」を抑制できる理由

体内に貯まるAGEsには「内因性AGEs」「外因性AGEs」があります。甘いものを食べて血糖値が高くなり体内で作られるAGEsを内因性AGEsといいます。また食べ物にもAGEsは含まれていて、その一部が体内に吸収されます。AGEsは調理法で左右され、食材の糖化は、加熱時間と熱(温度)のかけ算によっても進みます。

電子レンジやオーブンがあるキッチン

高温での調理ではAGEsがより多く発生します。例えば揚げ物やオーブンで焼くととても高い温度で調理することになりますね。そうするとより多くAGEsが発生します。その点蒸し料理というのは、熱を加えても比較的AGEsの発生が抑えられる調理法です。特に70度前後の低温蒸しはおすすめです。

蒸し料理はどんな効果があるの?

蒸し料理は糖化抑制の他にもさまざまなメリットがあります。

大きい鍋でブロッコリーをゆでる様子

■栄養素が流出しにくい

例えば温野菜を作る時に、野菜を茹でてしまうとお湯の中に水溶性ビタミンやミネラルが流れ出てしまいます。ビタミンCの場合は、茹でたり煮ることで40〜50%が流れ出てしまいますが、蒸せば損失は20%ほどに抑えられます。

■栄養素がアップする食材もある

蒸すことで、アミノ酸やビタミンなどが増える食材もあります。

お皿に盛られた蒸したお肉

■油の使用を減らせる

基本的にはノンオイルで調理できますので、油の使用を控えたい人には蒸し料理はおすすめです。肉なども余分な油を落とすことができます。

■調味料の糖分を控えられる

食材によっては煮たり茹でたりするよりも素材そのものの甘みが増すので、その後に使用する調味料の糖分を控えることができます。

蒸し料理をするときの注意点

食材に調味料をかける様子

■つけダレの濃さに注意

とてもシンプルに仕上がる調理法なので、付けダレの味付けが濃くなって塩分過多になることも。食べる人に合わせて味付けを調整しましょう。

■脂質の減らし過ぎに注意

徹底したヘルシー志向の方でたまにあるのが、油を減らし過ぎてしまうことで必須脂肪酸や脂溶性ビタミンなどが不足しているケース。例えば脂溶性ビタミンであるベータカロテンを含むニンジンなどを蒸す場合は、良質の油を垂らして食べるのもおすすめです。

■電子レンジ使用時の注意点

電子レンジを使った調理は高温になりすぎるためAGEsが発生しやすいと言われているのであまりおすすめはできません。
どうしても電子レンジを使用して蒸す場合は、使う容器に注意してください。プラスチック製容器の中には、電子レンジの使用でプラスチックの有害成分が溶け出してしまうものもあります。できるだけ耐熱性のあるガラス製や瀬戸物などを使いましょう。

■蒸す時はなるべく低温で

食材にもよりますが、なるべく低温かつ短時間で蒸すことで糖化が抑制できたり、栄養価をキープしやすくなります。

蒸し料理におすすめの食材

基本的にはどんな食材でも蒸すことができます。中でも野菜は健康的なメリットが大きいのでおすすめです。ここでは蒸すことで特に大きな効果が得られる食材をご紹介します。

■白菜

蒸すことでギャバが8倍、アラニンが2倍に増えます。どちらもアミノ酸の一種で、ギャバにはリラックス効果があり、アラニンは生体のエネルギー生成に必要なアミノ酸です。

■大豆

水煮で売っていることも多い大豆。蒸し大豆にすることでオリゴ糖やビタミンB群は水煮の約2倍、ギャバは8倍になります。

■ほうれん草

低温で蒸すことによって、もともと持っているビタミンCが2倍に増えます。

鍋で色んな食材を蒸している様子

■ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜

アブラナ科の野菜には、抗がん作用があるファイトケミカルの一種、イソチオシアネートが含まれています。これは長時間の加熱調理の過程で失われやすい栄養素ですが、蒸すことで保持できます。

■さつまいも

オーブンや炭火などで焼くことも多いさつまいもですが、蒸すことで糖化を抑制できます。また電子レンジで加熱するよりもゆっくりと熱を加えることができるので、甘みが増します。

■唐揚げの鶏肉

上記5つとは少し異なりますが、唐揚げを作る際に鶏肉を一度蒸してから衣をつけて揚げると、加熱時間が短くなってAGEsの発生が少なくすみます。

ご家庭でもぜひ蒸し料理を

このように蒸し料理にはさまざまな健康面におけるメリットがあり、同じ食材を調理するのでも、栄養がアップしたりキープできたりします。今まであまり蒸し料理をやってこなかった方も、コンパクトな蒸し器がひとつあるだけで簡単に蒸し料理をすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。

執筆者プロフィール

安藤麻希子 歯科医師

安藤麻希子 歯科医師

オーソモレキュラーアカデミー主宰/一般社団法人分子整合栄養医学普及協会 代表理事/あんどう口腔クリニック院長 歯科医師 日本歯科大学卒業。札幌医科大学口腔外科臨床研修医を経て、開業医の勤務医として一般歯科治療に携わる。「ママは家庭のドクターになれる!」をモットーに、分子整合栄養医学の知識をもとに個々に合わせた栄養療法を伝えている。

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