日本古来のスーパーフード、ぬか漬け。その健康効果とおすすめ食材を管理栄養士が解説!

日本古来のスーパーフード、ぬか漬け。その健康効果とおすすめ食材を管理栄養士が解説!

「菌活」などという言葉も生まれたように、ここ数年、発酵食品の栄養効果が見直されています。今回はその中でも、古くから日本の食卓で愛され続けてきた発酵食品、ぬか漬けに着目。秘められた健康パワーやおすすめの食材などについて、管理栄養士の坂本星美さんにお話を伺いました。

ぬか漬けとは

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ぬか漬けの「ぬか」というのは米ぬかのことで、玄米を精白するときに出る米の外皮や胚芽の粉のことをいいます。ぬかと水、塩を混ぜ合わせて発酵させた「ぬか床」に、季節の野菜などを漬け込んだものが「ぬか漬け」となります。

ぬか漬けには独特の香りと酸味がありますが、これはぬか床の乳酸菌や酵母菌で発酵されることで発生するもの。ぬか漬けは納豆やヨーグルトなどと同じ発酵食品になります。

栄養たっぷりのぬか漬けには優れた健康効果が

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ぬか漬けにはビタミンB1、B2、E、植物性乳酸菌や酵素などが豊富に含まれます。

ビタミンB1

ビタミンB1は糖質の代謝を促すビタミン。米飯に含まれる糖質をエネルギーに変換する働きをします。ぬか漬けとお米はベストコンビですし、栄養面でも相性バッチリ。
ちなみに、きゅうりをぬか漬けにすると、ビタミンB1の含有量が約5〜10倍にも増えるといわれています。

ビタミンB2

ビタミンB2は脂質の代謝を促してくれます。体脂肪が蓄積しにくい体づくりに一役買いますので、ダイエットをしている方にもぬか漬けはおすすめです。

ビタミンE

米ぬかに含まれる米油には抗酸化作用に優れたビタミンEが豊富です。皮膚や粘膜を健康に保ち、美肌効果も期待できます。米ぬかを毎日かき混ぜていたら、手がツルツルになったという話を聞いたことはないでしょうか?米ぬかを使った化粧品もありますね。毎日ぬか床をかき混ぜるだけで美しい手肌を手に入れることができます。

植物性乳酸菌

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ぬか漬けは乳酸菌の中でも植物性乳酸菌が豊富な食べ物。もともと野菜に付いていた植物性乳酸菌が米ぬかを餌にしてぬか床の中でどんどん増殖していきます。

植物性乳酸菌はぬか床という塩分濃度の高い環境の中で育つ乳酸菌。過酷な環境に耐える強さを持っているため、動物性乳酸菌よりも人間の体内で生き抜く力が強いと言われています。ですから生きたまま腸に届いて腸内環境を改善し、免疫力を上げる働きをしたり、アレルギー予防、疲労回復効果なども期待できます。

ぬか漬けを食べるときのポイント

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1日の適量は?

健康のためにもぬか漬けは毎日食べることをおすすめしますが、塩分摂取量から考えると1日20g程度が適量。これは漬物で言うと2、3切れくらいになります。1日1回、ご飯に添える程度ですが、ちょっと少ないかなと感じる方は細かく刻んで他の食材と和える食べ方もおすすめ。ボリュームを補いながら、おいしくいただくことができると思います。

塩分が気になる方におすすめの食べ方

ぬか漬けの塩分が気になる方におすすめの方法が塩抜きです。野菜をぬか床から出してぬかを取り除いたら、水に5〜10分つけてから水気を絞ります。こうすることで味と栄養を損なわず適度に塩分を落としていただくことができます。

また塩分を排出する働きのあるカリウムが多いきゅうり、にんじん、大根、なすなどでぬか漬けを作るのもおすすめ。納豆やほうれん草もカリウムが豊富なので、メニューに添えてみてください。

ちなみにぬか床を作る段階で塩分を調整する場合は、気持ち少なめにする程度に。減らしすぎると雑菌などの繁殖も活発になるのでご注意を。

ぬか漬けにおすすめの食材

生のまま漬けるおなじみの野菜から、漬ける前に加熱が必要な野菜、ぬか漬けには珍しい変わり種まで、おすすめの食材をご紹介します。

漬ける時間は発酵具合や温度によって異なりますが、おおむね半日から数日程度様子を見ながら、お好みのタイミングで取り出してください。

そのまま漬ける定番野菜

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きゅうり
両端を少し切り落としてから6時間〜半日程度塩揉みして漬ける。

なす
縦半分に切って塩揉みをしてから半日〜1日程度漬ける。

大根
入れやすい大きさに切る。皮がついた状態で塩揉みしてから1日〜数日程度漬ける。

加熱してから漬ける野菜

エリンギ 半日〜1日程度
茹でたり、電子レンジで加熱し、あら熱をとって水気をふきとり漬ける
茹でる:1〜2分ほど  レンジ:600Wのレンジで1分

ごぼう 1〜2日程度
皮を剥いて茹でたり、電子レンジで加熱し、あら熱をとって水気をふきとり漬ける
茹でる:1〜2分ほど  レンジ:600Wのレンジで2〜3分

変わり種食材

アボカド
種を取り除き皮を抜いて半日〜1日程度そのまま漬ける。
コメント:アボカドの旨味と濃厚さがさらに増して、チーズのような味わいに!

チーズ
そのまま半日〜2日程度漬ける。
コメント:ほどよく水分が抜け、もっちり感がアップ!お酒のお供に◎モッツアレラチーズやクリームチーズなどもOK!オリーブオイルを垂らしたり、大葉を添えてカプレーゼ風にすれば、ちょっとおしゃれなおつまみとしても。

こんにゃく
軽く下茹でしてから棒状に切り、水分をふきとり半日〜1日程度漬ける。
コメント:独特の食感がやみつきに!程よく水分が抜けて、心地よい食感に。

漬けるときに注意が必要な食材

ぬか漬けに入れてはいけない食材というのは、基本的にはありません。ただし漬けるときに注意が必要な食材はあるので、ポイントをご紹介します。

水分が多すぎる食材

トマトや豆腐などの水分が多いの食材は、ぬか床が水浸しになってしまい、腐敗菌が増殖したり、カビが生える原因にもつながります。事前にしっかりと塩で揉んで適度に水分を抜いてから漬けるようにしましょう。

辛みや苦みの強い食材

ネギや玉ねぎ、ゴーヤ、チコリなどの辛みや苦みはぬか床にも移り、他の食材の味にも影響しますので苦手な方は注意が必要です。

肉や魚

肉や魚も生のまま漬けられますが、衛生的にその後のぬか床のメンテナンスが必要になるので、上級者向き。おすすめは食材の方にぬかを塗って、ラップで包んで漬ける方法です。漬けた後はぬかを軽く洗い流し、フライパンなどで焼いてからお召し上がりください。

市販の米ぬかで気軽に始めてみて

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ぬか漬けに興味はあるけれど、ぬか床から作るのはハードルが高そうと考えている方も多いかもしれません。
ですが今は市販の発酵ぬか床という便利な商品もあります。そこに野菜を入れるだけで、半日後には本格的なぬか漬けを食べることができます。

おすすめしたいのが、「ぬかどこボックス」です。
ぬか床の管理で最もポイントになるのが水分調整ですが、実はこれが難しくて一苦労...。そんな面倒な手間もぬかどこボックスなら、内部の構造によって驚くほど簡単にできます。手の汚れが気になって億劫になりがちなぬかのかき混ぜは、専用しゃもじでラクラクです。それにコンパクト設計だから、冷蔵庫での保管もOKです。

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市販の発酵ぬか床を入れるだけで簡単ぬか漬けライフが始められます。ぜひ毎日の健康づくりにお役立てください。

ぬか漬けは生きた微生物たちの力を借りて作るもの。その日の気温や混ぜる回数によって味も風味も変化する他にはない食べ物です。愛情を込めれば込めた分だけ、微生物も応えてくれるはず。ぜひ育てるような気持ちで、お家でチャレンジしていただければと思います。

執筆者プロフィール

坂本星美/管理栄養士、SDGs料理研究家

坂本星美/管理栄養士、SDGs料理研究家

北海道出身。食育NPO法人の設立やネパールでの学校設立など国内外の食育活動にも力を入れる管理栄養士。食と栄養の不思議を学べるお料理エンタメ動画も人気。企業とコラボしたレシピ開発、イベント・セミナー、各種メディア出演など幅広く活動中。

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