
ぬかどこボックス
- FOOD
- 2025.09.17
糠漬けアーティスト・ぬかこさんが教える、ぬか床の育て方と続け方の秘訣
腸内環境の改善など健康効果も期待できる日本の伝統食・ぬか漬け。今回お話をお聞きしたのは、糠漬けアーティストの「ぬかこさん」こと市川奈緒子さんです。もともと食に興味があったという市川さんは、勤務していた食品会社がコロナ禍で在宅ワークになったことをきっかけにぬか床づくりに挑戦、あまりの面白さにすっかりはまってしまったのだそう。そんな市川さんに、ぬか漬けのイロハから育て方・続け方まで教えていただきました。
ぬか漬けの基礎知識
材料選び

ぬか床はとてもシンプルで、材料は「米ぬか」「塩」「水」の3つです。
まず米ぬかは、そのまま食べておいしい米ぬかを選んでいます。自然栽培や無農薬など、甘みが感じられる米ぬかが好きですね。また米ぬかは酸化しやすく虫も付きやすいので、精米したての米ぬかを使うといいですよ。
塩は天然塩がおすすめです。私は千葉県九十九里の海水から昔ながらの製法で作られた山武の海の塩を使っています。
容器の種類
私自身、最初はごく普通のタッパーウェアを使っていたのですが、今は秋田杉で作られた楕円形のぬか櫃にたどり着きました。プラスチックと違って木はぬか床の水分を吸ってくれますし、ぬか床の菌が木に住みつくとも言われています。きゅうりが丸ごと入る大きさに設計されていて、丸い形は隅々までよく混ぜられるのでおすすめですね。見た目もおしゃれで気に入っています。
実は「ぬかこ」のほかにもう一つぬか床を作りはじめています。

「ぬかお」という名前なんですが、「ぬかお」の容器は普通のホームセンターで売っている、梅干しや味噌を作るような陶器のつぼです。作って一か月になりますが、水分の状態も問題ありませんし、高さがあるので使いやすいですね。そのほか、ホーローなどの容器もよいと思います。
保存場所
ぬか床の乳酸菌がうまく発酵する温度は20度から25度くらいなので、常温で保存しています。ただし最近の夏は暑すぎるので、冷蔵庫に入れたり出したりがおすすめです。たとえば朝起きたら冷蔵庫に入れて夜は出しておく、といった具合です。人の心地よい温度がぬか床にとっても好ましい温度なので、夏も冬も、エアコンのついた部屋に一緒に持っていくのも よいと思います。
かき混ぜる頻度

私は基本的に1日1回、食べるときに混ぜるようにしています。たいてい夜に漬けておくので、たとえばきゅうりとなすを漬けたなら、次の日の晩御飯のときに取り出して混ぜる。混ぜたら今度はにんじんとセロリを入れてまた次の日食べるときに取り出して混ぜる...というようなサイクルです。たまに忙しかったり外出したりで混ぜられない日もあるかもしれませんが、次の日に心を込めて混ぜてあげれば大丈夫ですよ。
混ぜ方のポイント
混ぜるときは、「天地返し」といって上にある層と下にある層を交換します。ぬか床の下に手を突っ込んで、下の部分が上に、表面の部分が下になるように混ぜてあげます。

私たちの手についている皮膚常在菌がぬか床に加わると、ぬか床がよりおいしくなりますので、混ぜるときは水で洗っただけの素手で混ぜています。ぬか床は家庭によって味が全然違うのですが、おそらく自分の手で混ぜることで自分にしっくりくる味になるのではないでしょうか。旦那さんやお子さんがぬか漬けを食べてくれないという場合は、一緒に混ぜてもらうのもよいと思います。
足しぬか
ぬかは野菜にくっついて少しずつ減ってくるので、ときどき「米ぬか」と「塩」を足します。毎月足す日を決めておくと忘れないのでおすすめです。

一緒に昆布や鰹節、干ししいたけなどを入れるとうまみが増しますし、唐辛子は味を引き締めて、防虫効果も期待できます。
ぬかは料理にも使えます。ぬか炊きといって、スペアリブやばら肉、イワシ、サバなどと一緒に煮込むとおいしいですよ。
野菜別の4つの漬け方
野菜の漬け方には4種類あります。
漬け方①:そのまま漬ける
アクのないにんじんや大根、セロリ、かぶなどはそのままで゙OKです。
漬け方②:塩もみして漬ける

きゅうりやなすはアクがあるので塩もみしてから漬けます。葉物野菜もそのままではうまく漬からないので、塩もみしてしんなりさせてから漬けましょう。
漬け方③:干して漬ける
きゅうりや大根など、半日ほど干してから漬けると、ポリポリとした食感が楽しめます。
漬け方④:下茹でして漬ける

ごぼう、とうもろこし、カボチャ、芋類など生では食べられないもの、生では固いものは下茹でを。冷ましてから入れましょう。
どのくらいの時間漬ければいいの?

きゅうりはまるごと、なすや太いにんじん、大根などは適宜切って入れます。よく「どのくらいの時間つければいいの?」と聞かれるのですが、私は時間に縛られないところもぬか漬けの魅力だと思っています。浅漬けも古漬けもおいしいので、いろいろ試していく中で、いろいろな野菜の漬かり方の時間感覚を身につけてほしいと思います。
ぬか床を続けるコツ
ぬか床に名前をつけるところからはじめよう!
みなさん、私のことを「ぬかこさん」って呼んでくださるんですが、実は「ぬかこ」はぬか床の名前です。ぬか漬けをはじめるとき、私はまずぬか床に名前をつけるんですね。ぬか床は生き物なので、名前を付けて可愛がって育てていくんです。ぬか床はどんどん成長していきます。私の「ぬかこ」はもうすぐ5歳ですが、1年目と5年目では味が全然違います。
季節折々のものでぬか床を楽しむ
私はぬか床を夏に始めたのですが、その年の冬に少し飽きた時期がありました。夏野菜もなくてぬか床も冷たいので一週間くらい放置してしまっていたんですね。
そのときにたまたま、知り合いが北海道の鮭を送ってくれて。ちょうど「゙鮭の頭を入れるとぬか床がおいしくなる」と本で読んだところだったので、漬けてみたんです。すると本に書いてあった通りに、鮭の骨も目玉も全部溶けてなくなってしまって、びっくりしました。

それをきっかけに、冬にはゆずの皮やみかんの皮を干したものを入れたり、夏には実山椒や青梅を入れたり、漬ける野菜もその季節の旬のものを使うなどして、ぬか床への興味が尽きることはなくなりました。その時その時の季節を楽しむことが、ぬか床を続ける秘訣ではないでしょうか。
手軽にぬか漬けが楽しめる「ぬかどこボックス」
これからぬか床をはじめたいという人には、手軽にぬか漬けができる「ぬかどこボックス」もおすすめ。

スマートでありながらきゅうりがまるまる入るサイズ設計で、余分な水分も底のスリット穴を抜けて自然に外容器にたまります。容器の角が丸く、隅々までかき混ぜやすいのもポイントです。
ご飯のお供に、腸活に、ぬかどこボックスでぬか漬け生活をはじめてみませんか。まずはぬか床に名前を付けること、そして季節折々のものでぬか床を楽しんでみてくださいね。
執筆者プロフィール
市川奈緒子(ぬかこ)|糠漬けアーティスト
五感を使った自由で楽しいぬか漬けを実践。勤めていた食品会社を退職し、おいしいお米を 求めて千葉県多古町へ。ぬか漬けの魅力をSNSで発信、ぬか漬けのオンライン講座も開催。また、酒造の立ち上げにも取り組んでいる。
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